真夏の太陽が照りつける、ふれあい民宿「夜露四苦、五郎」。
頻繁に掛かって来る無言電話とお腹の子の父親を探してる謎の妊婦。
突然の野球部甲子園出場のため仕方なく遠征に来た男5人だけの応援団、自称「dogs」。
5人共、犬の名前で呼び合い、敗退したのに浮かれる「dogs」に女性記者は告げる。
「暴力事件起こしたでしょ?反対側のアルプススタンドにいた応援団達と。」
柴犬はバット片手に殴りこみをかけ、
番長のゴールデンはプロ野球のプロテストから逃げて元キャバ嬢の彼女に連絡を取り続ける。
部長で秀才のシェパードは妊婦に恋をし、チャウチャウは仮病を使い、
民宿の手伝いをしてるミュージカル女優を夢見てる琴子ちゃんに恋心を抱き、
コーギーはアコギでメロディを奏でてる。
暴力事件の問題が進行する中、シェパードが恋をした妊婦のお腹の中の子の父親がゴールデンだと明らかになる。
シェパードは決断ができないゴールデンとタイマンを張ることを決意したが、
突然の妊婦の破水によりゴールデンは決断を迫られ、命の重要性を感じることになる。
赤ちゃんが産声をあげた朝、琴子がオーディションの最終選考に向おうとした時、
実の母親が再婚する愛人に会って欲しいと訪ねて来る。
琴子は涙を堪えながら、
「あんなの初めて見た。TVドラマで見るよりも壮絶だった。
何であんな苦しみに絶えて産んだ子供を捨てられるの?考えられないよ・・・。」
コーギーの弾き語りでも琴子は立ち直れなかった・・・。
飴玉を舐め、覗き見をしてたチャウチャウが彼女にとびっきりなエールを送るため、襟を正した。
無条件で様々な人生が集まる空間は何処かにないか考えてたら「ロビー」が閃きました。
ワンシチュエーションでお客様の目線で主役が変わっていく群像劇を描こうと思ったんです。
この作品を描くにあたって、みんな様々な痛みや不安を抱えてる日常に、ちょっとしたヒトの温かさが、
そのヒトの人生までも変える力になるんだと表現したかったんです。
本番を観て、僕も誰かを心の底からエールを送る瞬間に出会えたらいいなと思いました。
生まれた事を体感するヒトがいれば、数時間後には捨てられた事を体感する人もいる。
人生は面白いんだけど、語れないです。
そんな漠然とした考えをコミカル感で照れ隠しをしながら創作しました。
「走る」がテーマになっています。なかなか方向性が思いつかなくて難産だったのを覚えています。 2回目ぐらいの打ち合わせのときに、前日に読んでいたマンガの扉を見て、やっと方向性が見えました。 これを見ると、写真の合成はまだまだだ甘いと痛感させられます。 ですが、作品には合っているとの返事をもらえたので、良しとしましょう。 右下の英語は「困っている人を助ける」という意味の慣用句で、文章の中に「dog」が入っていたので即決で使用を決めました。 映像撮影と同日にフライヤー用の写真撮影を行いました。全員が学生という設定だったので、 制服もしくはそれに似た黒いズボンを履いていて、なんだかえらく老けた学生だと思ったのは、ココだけの話です。 (古高千恵子)